“予期的UX”と“pLSA離散化”と“フィールドワーク(定性調査分析)”と ―サービス学会発表の補足


“ファッションにおける消費者価値観モデルの構築 ―「コト」を創出するための顧客理解”を、サービス学会で発表してきた。多くの方に聞いてもらえる貴重な機会を頂戴し、さまざまなコメントをいただけたことは本当に有難いことで、大会終了後の今も様々な考えが巡る。(まだ眠れそうにない・・・)

サービス学会は聴講するだけでも多様な分野からの発表があり、刺激的なディスカッションがある。多くの示唆、高い視座と広い視野を持つ意識、そこからアイデアが自ずと湧き上がってくる。まして、自身の発表にフィードバックをもらえるというのは、やはりすごいことで、加速していく何かを感じる。

これに乗って、次の人工知能学会の発表に向けて考えたいこともあるけれど、まずは今回の発表について省みる。
すると、いろいろ補足しなければと思うことがいくつかある。

予期的UX


この4つの説明を十分にできなかったが、徳見が「経験(Experience)を売る時代」にまとめている通り、「コト」の創出というのは、この4つそれぞれがある。

pLSA離散化

確率的潜在意味解析(pLSA)の活用にあたり、ソフトクラスタリングとハードクラスタリングの議論があった。
(クラスタリングについては、「世の中の人間は2種類だけではない」に西尾が書いている。)
pLSAの結果を、ハードクラスタリングにするか、ソフトクラスタリングにするか、というのは、その後の分析に大きく影響する重要なポイントになる。
今回の論文や口頭発表では、「各クラスの所属確率0.2以上で離散化」と1行記述したのみで詳しい説明は割愛したが、ハードかソフトか、閾値をどのように設定し離散化するかというのは、実際には何度も試行を繰り返した。そして、その試行錯誤の結果、モデルの精度を向上することができている。

なお、ただ試行を繰り返せばいいというわけではない。pLSAの結果だけを見て、その判断するのは非常に難しい。大規模データモデリング研究会で産総研本村先生が指摘されていたようにpLSAの結果をベイジアンネットワークにいれて確認することが、今回の分析においても非常に有効なアプローチ方法であった。
どのように離散化するかは、その後の分析の表現力が明らかに影響がある。pLSAのk値だけではなく、離散化の方法もいくつものパターンをベイジアンネットワークにて確認することが重要で、そこは慎重に進めていきたいポイントだと考えている。

フィールドワーク(定性調査分析)

「フィールドワークとベイジアンネットワーク」
「そして、アナロジーと・・・ (フィールドワークとベイジアンネットワークと)」
に書いたように、今回のファッション価値観モデルを構築する際にも、フィールドワークは重要だった。pLSAの離散化に際してもそうだが、フィールドワークによって抽出した顧客理解は、ベイジアンネットワークを構築する上で気づきや洞察を与えてくれる。アンケート設計、変数選択、構造仮説、分析軸、どれも定性調査分析がなく、定量データと向き合っているだけでは上手く進まなかったはずだ。
このことに関しても、今回の論文や口頭発表では簡単にしか述べていなかったので、来月の人工知能学会では、ここにフォーカスして発表したいと思う。

もう1つ、“アブダクション”についても書きたいところだが、こちらは次回以降書くことにしようと思う。


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