ライフイベントと価値観


こんにちは、馬場です。

価値観の研究をしていると「人の価値観って変わるよね」と言われることがあります。
確かに変わるような気もしますし、根っこのところは変わらないようにも思います。

そこで、大きな2つのライフイベント「結婚」と「子供の出生」による価値観の変化についての研究をご紹介します。

調査手法

価値観調査で聴取していたのは同居家族の情報をもとに、以下の2つの集団を比較することにより、「結婚」および「子供の出生」による価値観の変化を定量的に説明しようと試みました。

  • 結婚:「配偶者と同居しておりかつ子と同居していない人」 と 「配偶者とも子とも同居していない人」
  • 子の出生:「配偶者と同居しておりかつ子と同居していない人」 と 「配偶者とも子とも同居している人」

価値観のフレームワークは、Societas(ソシエタス)とそれを構成する61の価値観を利用しています。

結婚

未婚者と既婚者では、お金と時間に対する価値観に差があります。

グラフ 結婚と時間

未婚者より既婚者の方が休日家で過ごすインドア派の割合が27pt少なく、また趣味に時間を使うタイプも12pt少ないです。対して家事に時間を使っていると回答した人は10pt増加します。


グラフ 結婚と金銭観

金銭感覚はどうでしょうか。既婚者はお金を自己投資のために使うと回答する人の割合が13pt少なく、家族のために利用すると回答した人の割合が20pt多いです。お金に関しては、ぎりぎりだと感じている人の割合が12pt少ないです。また、家計簿をつけるなど常識的な価値観を持っている人が11pt少ないのですが、これは結婚を機に配偶者にお金の管理を任せる人が多いからかもしれません。


グラフ 結婚と価値観

キャリア志向はすこし薄れるのか、既婚者の方が13pt少ないです。また、既婚者の方が仕事でも人間関係でもストレスを感じることは少ないようです。家族との関係が良好と感じている人は未婚者より既婚者の方が14pt多く、すこしほっとしました。


出生

子どもがうまれると家族に対する責任感が生まれます。

出生と価値観

家族が増えると家族の世話をしようという主婦的な責任感も、家族を養っていこう守ろうという扶養者的責任感も増加する傾向にあります。
さらに、時間やお金も意識して家族のために使う、使っていると回答する人が増えます。結婚では結果的に自分に使う時間やお金が減ったと感じていることがデータから読み取れますが、それとは対称的です。


出生による時間価値観男女比較

子供の出生においては、男女間の価値観の差も見て取れます。例えば、時間について余裕がないと回答する人の割合は、男性では子供の出生前後でほとんど差はないのですが、女性では13pt増加します。


変わらないもの

結婚や子の出生を機に、時間やお金に対する価値観が変化するということは、自明で納得感があると思います。それでは、他の価値観はどうなのでしょうか。

性格、ポジティブ価値観=何に対して幸せを感じるか、ネガティブ価値観=何に対して腹立たしいと感じるか、人間関係に関しては、ほとんど差がありませんでした。人の親になることによりおおらかになったり、協調性が高くなるということはないようです。これもある意味自明なのですが、個人的には残念です。

より詳細な分析結果を以下のスライドにまとめました。

 

最後に

周囲に調査したところ、圧倒的に「子供が生まれたときの方が人生観が変わった」と回答している人が多かったのですが、今回の分析ではその差は観測できませんでした。観測できていないところに、今のSocietas の枠組みの限界があるのでは、と感じています。


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