書籍紹介 - 社会学入門


こんにちは、馬場です。

ある時、弊社の藤井が言いました。
Societas(ソシエタス)って社会学の方に発展すると思んですよね。」

そうなのか。で、社会学ってなんだ?
ということで、「社会学入門」を読みました。

社会学入門

なかなか考えさせらる良い本だったので、ご紹介します。

社会学、の前に社会科学

この本では、一冊通して、社会学とは何なのか、歴史や豊富な事例を交えて丁寧に説明しています。ですが、まずは、社会学は社会の問題を解決する社会科学の一つ、として社会科学について紹介しています。

それでは、社会科学ではどのように問題を解決するのでしょうか?

例えば、自殺者の数が増えている、という問題に取り組むとします。まずは、さまざまな統計データをあたります。すると、いくつか自殺者数と関連の深い数字を見つけることができると思います。失業率などは、おそらくかなり自殺者数とおなじように推移しているはずです。ただ、この「数字が連動している」からといって、「自殺の原因が失業」とするのは早計です。原因になる共通の事象があることにより、連動して見えているだけかもしれないし、実は自殺が原因で失業率が高くなっている可能性も、ないとはいえません。この因果関係について仮説を立て、定性調査や定量調査を実施し明らかにしていき、原因を突き止めるのが、社会科学です。

社会学とは何なのか

社会学研究の大きな動機の一つも、やはり差別や貧困などの社会問題を解決する、というものです。ただ、そのような問題を解決する学問は、他にもあります。特に現在では、経済の要因は無視できず、すべて経済問題とも解釈できます。そのようないろいろな社会科学の分野の中で、社会学特有なものは何なのか、というと、問題の原因を考察するにあたっての、姿勢というか、ものの見方の特異性、だとこの本ではいっています。

例えば、経済学では社会を個人の集りとして捉えます。一人一人が、合理的な判断を繰り返すことにより、集団としての社会に問題が発生する場合がある、というスタンスです。対して、社会学は、社会って本当はもっと複雑だよね、と考えています。 例えば生き物。生き物は細胞の集りですが、細胞だけ見ても、その本質はやっぱりわかりません。細胞同士が遺伝情報を共有し、複製したりして、一つの個体ができあがっていますし、その全体をみなければ生き物の特徴などはわかりません。同様に、社会学では、社会を、人々が、文化や伝統、常識、道徳、法律といった、情報や知識を共有し、交換してなりたっているものと捉えます。そして、社会問題の要因を個々ではなく、共有している情報や知識の変容や多様性に求めるのです。

社会学のアイデンティティーを以下のように解釈しています。

社会的に共有される意味・形式の可変生・多様性についての学問

Societasは社会学なのか

さて、仮にもsociを接頭辞に持つSocietas(ソシエタス)。私たちが日々研究しているSocietasは、はたまたマーケティングは社会学なのでしょうか。

私自身は、Societasは集団ではなく、個の顧客の価値観構造のモデル化と類型と考えていました。意識してはいませんでしたが、マーケティングもどちらかというと、経済学の理論を基礎にしていると思います。ただ、マーケティングの対象は、one-to-oneマーケティングでさえ、「優良顧客」「会員」「若者」などある特性を共有した人の集合です。マスマーケティングなどは特に、大衆という社会を対象にするものですよね。この対象を、合理的な個人の集合と捉えるか、情報を共有した複雑な有機体と捉えるか、ケースバイケースですが、「マーケティングの対象は特徴を共有した集合」というのは、私にとってなかなかの発見でした。

最後に

こんな社会学ですが、社会学に基礎理論は存在しません。社会学のベースとなる空気が「ものごとを説明する、未来永劫変わらないような、シンプルなルールって存在しないよね...」というものなので、当然と言えば当然なのですが。それでも、社会学について以下のように述べているところが、強く印象に残りました。

社会学もまた、単一の「基礎理論」をもたない折衷科学であるしかない、ということになります、つまり、経済学でも心理学でも生物学でもロボット工学でも、必要とあらばなんでも使う学問です。

私の研究もそうありたいです。(しかし勉強しなきゃいけないこといっぱいあるなあ...)

明日すぐに役立つノウハウとかそういうものは全くないのですが、今まで気づかなかった視点(と科学の世界の広さ)を感じることができた本でした。


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