喋るスマートフォンは「ヘンタイ」でなきゃ面白くない!


今月、シャープは話しかけてくれるスマートフォンの新機能「emopa(エモパー)」の開発を明らかにしました。emopaとは「Emotional Partner」を略した造語で、スマホユーザーの生活シーンに合わせて、ユーザーの「気持ちに寄り添ったメッセージを音声や画面表示でお知らせしてくれる」という技術のようです。
具体的に言うと、スマホを置いたり振ったりすると、ユーザーの状況を読んで喋る人工知能のことです。例えば朝、出社する前に「おはようございます。今日は雨が降りそうです。傘を忘れずに」、飲み会などで夜遅くまで外にいるときは「帰りの時間は大丈夫ですか?」、端末を振ると「わ、わ、なにかご用ですか?」、バッテリーが残り少なくなると「おなかが空きました~」などと喋り出して、なかなか愛嬌があるようです。

どっかで聞いたような話だな~って既視感を覚えていたら、前にもシャープが冷蔵庫や洗濯機などの家電に喋る機能をつけていたことを思い出しました。「ココロエンジン」という人工知能のようです。これは既存の類似技術と違って、機能的なことを話すだけではなく、「曖昧な気づき」という言葉に代表されるような、情緒的なお喋りをするらしいです。要するにより「人間的」な人工知能に進化した、ということですね。
もっと詳しい情報は下記のリンク先をご参照ください。

<公式体験サイト>http://k-tai.sharp.co.jp/dash/lp/emopa/emopa.html
<プレスリリース>http://www.sharp.co.jp/corporate/news/141001-a.html
<紹介記事(ITmedia)>http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1410/01/news136.html

スマートフォンに喋らせるのは初めてのことではありませんが、これは愛着が湧きますね。
あとはとりあえず、キャラクタービジネスへの展開と、双方向の会話(インタラクション)へ踏み込むことだと思います。

ここで思ったのは、この技術はオタク文化、とりわけ「萌え」文化との親和性がハンパなく高そうだ、ということです。
ちなみに、実はこの発想は1980年代には既にオタク系メディアのネタになっています。

例えば十数年前のあるPCゲームでは、「ナビゲータ」という携帯端末内部で活動し、主人公の手助けをする美少女キャラクターが、主人公が現実の世界で現実の女の子たちと恋愛関係を築くための良き秘書として働いてくれます。
そしてご想像の通り(?)、オチはしまいに主人公のナビゲータへの恋愛感情が芽生え、けれども端末の中のAI付きキャラクターにしか過ぎない「彼女」と愛を結ぶことができず(肉体的な意味で……)、切なく物語は幕を閉じます。

当時は夢物語のように思えたものですが、十数年も経てばこれが確実に現実のものになろうとしていますね。
「外国人」として私の当時の感想は、「日本人はとことん妄想が好きな『ヘンタイ』だね……」というものでした(むろん褒め言葉です)。

上の話からも分かるように、このネタをオタク業界の人たちは確実に噛み付いてくるでしょうし、技術開発者側としてもオタク文化とのコラボレーションでヒット商品を作り出せる可能性が高いと思います。
実際にボーカロイドの初音ミクのライブも「現実世界」にて、しかも世界各地で定期開催されています。

<初音ミクライブパーティー>http://5pb.jp/mikupa/
<初音ミク「マジカルミライ 2014」>http://magicalmirai.com/2014/
<HATSUNE MIKU EXPO 2014>http://mikuexpo.com/

元々の研究分野の関係で、なんでも「萌え」とかマニアックな方向性へ考えてしまう私をどうかお許しください。
私の研究によると、2002年より従来のオタク文化(とりわけ「美少女」系メディア)の価値観である「泣き」と「抜き」に代わり「萌え」が台頭し始め、やがてオタク文化の主流になって今に至っています。
私も出展に参加した第9回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展(2004年)の日本館展示では、「萌え」を「寂び」と「侘び」に続く日本の第三の美意識であると大々的に謳いました。
<第9回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示 おたく:人格=空間=都市>http://www.jpf.go.jp/venezia-biennale/otaku/j/

21世紀初頭から、東大本郷生協売上1位に輝いた英単語集「もえたん」や初音ミクなど、数々のオタク文化/「萌え」のメディアミックス的展開の大成功を見てきた私にとって、新しい技術が開発・実装されるたびに、オタク系メディアミックスの伸び代はまだまだ非常に大きいと、毎度ながら思わざるをえません。

ついでに言えば、米アップル社は様々なイノベーションを起こしてきたすごい会社ですが、いまいちSiriが日本で冴えないのは、そのような強烈なキャラクター性が活かせていないからだと思います。
それが日本人が最初に作ったものなら、絶対もっともっと「ヘンタイ的」で面白いものができていたと思います。

結論を一言でいうと、

 日本の技術は「ヘンタイ」でなきゃ面白くない!

ということでした。

以上、歐陽からのしょうもない感想でした。てへッ。

<続編もお読みください>
【精神分析の視座から】「喋るスマートフォンは『ヘンタイ』でなきゃ面白くない!」続編

 


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