ニューロマーケティング ~古きものと新しきものをつなぐ技術~


(English version is here.)

ニューロマーケティングなどの新手法の応用が進むにつれて、従来のマーケティングリサーチ手法(アンケート、インタビュー等)が不要になるという誤解があるのかもしれない。しかし、今年のニューロマーケティングワールドフォーラムでなされた議論は決してそのようなものではなかった。アンケートやインタビューの手法は有力な方法であるとの共通認識があり、ニューロマーケティングは、従来の手法とコラボレーションするという考え方が一般的だった。

そして、私たちの発表内容は、まさに両手法の統合方法の提案というテーマを用意していた。この脳波とアンケートデータを、どのように効果的に統合するかというテーマ、その意義は大きいと考えている。なぜならば、両方の手法はそれぞれに強みと弱みがあるが、その二つのデータを統合することで、弱点を相互に補完し、さらに深いインサイトを導き出すことができるからである。

発表資料は下記の通り

各章の概要を説明すると、

はじめに(P.1-13)

TVCMの評価においては、様々な手法により、多種多様な情報を収集することができる。脳波測定は、秒毎の視聴者反応を測定することができるが、実際の感情についてはわからない。一方で、アンケートは、視聴後の感情が明らかにできるが、視聴中の秒毎の感情想起のタイミングは把握することはできない。しかし、この2つ情報を効果的に統合すれば、秒毎(つまり、シーン毎)に発生された感情を推論することができる。

研究目的(P.14-19)

マーケティング施策を評価する手法は増加しており、アンケート、アイトラッキング、顔表情認識などがある。これらの方法は、それぞれ得手不得手があるため、1つの案件に対して、複数の手法を同時に使用するのが望ましいが、その複数のデータから有益な知識を抽出するためには、その情報を統合することが必要になる。そして、その「データ統合」は現在定性的に行われるのが主流であるため、コストがかかる上に、リサーチャーの主観によるバイアスがはいってしまうという問題がある。この状況において、自動的にデータ統合ができるフレームワークへのニーズは高いと考えられる。

単純分析について(P.20-28)

アンケートと脳波データを統合する一般的な手法としては、アンケートデータを使って被験者の母集団を分けて、それぞれグループの脳波データを比較し、その差の有意差を「t検定」等の簡単な統計ツールで測定することがある。しかし、この分析では仮説検証しかできないため、適切な仮説がなければ、データから有益な結果を導き出すことができないという課題がある。

提案するデータ統合フレームワークについて(P.29-47)

弊社で開発したベイズ統計に基づいたデータ統合フレームワークは、脳波データから覚醒度と感情度を軸として算出し、それらとアンケート回答の感情を関連付けをおこない、1秒毎の感情発生の確率分布を推論することができる。実際、このモデルを利用した事例結果を報告したが、このレポート内容に関して、現場からは高い納得感を得ることができた。

プレゼンで紹介したTVCM:

Sony Bravia 4K 「千の色」篇

Sony Bravia 4K 「細部の美」篇

Cainz スタックボックス キャリコ


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