オープンラボ2013 : キーワードの連想構造は人によって異なるのか


こんにちは、馬場です。
去る11月20日・22日に、今年もオープンラボを開催しました。私は「キーワードの連想構造は人によって異なるのか」というテーマでポスター発表を行いました。このブログでも研究の内容をご紹介します。

オープンラボ2013_キーワードの連想構造は人によって異なるのか_ポスター画像

なぜこの研究をしようと考えたのか

今年は心のフレームワークSocietas(ソシエタス)を開発し、様々なシーンの顧客分析に活用してきました。ただ、顧客像を明らかにするだけでは、マーケティングの現場に活かすには不十分、ということもだんだん明らかになってきました。今のSocietas の「好奇心旺盛」や「協調型」などの抽象的なお客様の価値観の概念から具体的なメッセージを組み立てるプロセスは、かなりマーケッターのセンスに委ねられます。

マーケティングのクリエイティブに顧客インサイトに基づく鮮明なヒントを与える。これはリリース当初からiNSIGHTBOXが目指すところです。このコンセプトをさらに押し進めるためには、遠回りでもメッセージを受け取ったときの顧客の心の動きを丁寧に解読するべき、と考えました。

ただ、それぞれの心の動きを説明してもらうことは難しいと考えました。そこで、キーワードを列挙していく連想ゲームをしてもらうことにより、言葉をうけとった人の心象風景をかいま見れるのではないか、と考えました。また、同時に価値観を調査することによりことばから受けるイメージと価値観の関係がわかれば、ターゲットごとにより「刺さる」メッセージングができるのではないでしょうか。

調査について

アンケート設問
Societas価値観/食に関する価値観を聴取するWeb アンケート調査において、右のように連想ゲームをしてもらう設問を用意し、回答してもらいました。(回答数1030人)

今回のポスターでは「あまい」という単語をとりあげ、あまいから広がる心象風景を検証しました。

「あまい」から連想することば

みなさんは「あまい」から何を連想しますか?

このアンケートの結果、1030人中524人が「砂糖」と回答し、さらに「砂糖」と回答した524人のうち150人が「白」と回答しました。

ことばの出現頻度

ただ、よくみてみると連想することばにバリエーションがあります。出現回数が低いことばに何か傾向がないか、調査をしてみました。

Societas ごとの連想することばの傾向

次に12 のSocietas ごとに、連想することばの傾向を分析しました。
手法は以下の通りです。

  1. 被験者1030人を推論事後確率が最も高いSocietasにクラスタリング
  2. Societas ごとに「あまい」から連想した単語の集合をひとつのドキュメントとし、TFIDFを計算
  3. 2 の値が高いものを列挙

結果は以下の通りです。
Societasごとのあまいから連想することば

同様の分析を、「あまい」から「砂糖」を連想した524人に対しても実施し、砂糖から連想することばの傾向を分析しました。結果は以下の通りです。
Societasごとの砂糖から連想することばの傾向

有意差はあまりなかったのですが、私はことばに傾向がある、と感じました。ことばを適切にクラスタリングできれば明確に傾向を示せるのではないか、と考えました。

連想したことばからその人の価値観を推論する

今度は、あることばから別のことばを連想した人の価値観になにか特徴がないか、分析しました。
手法は以下の通りです。

  1. ことばを定性的に「和菓子」「洋菓子」「食材」「人生恋愛」など12個にクラスタリング
  2. 価値観、あまいから連想したことば、その次に連想したことばの構造を表す確率モデル・ベイジアンネットワークを作成
  3. あまいから連想したことばに証拠を与え、価値観の感度分析を実施

結果は以下のようになりました。

連想構造に影響を与える価値観

この図は、「あまい」ということばから「砂糖」「みりん」「卵」など食材を表すことばを連想する人は、好奇心旺盛な傾向が高く、否定批判にさらされて悲しんだりおこったりする傾向が低いことを表します。

この図からは、同じことばを連想する場合でも連想のきっかけとなることばにより価値観の傾向が違うことがわかります。例えば、洋菓子は「ケーキ」「チョコレート」「シュークリーム」などのことばを含むグループですが、「あまい」から直接「ケーキ」などを連想する人は、否定批判を人一倍気にする傾向が高いのに対し、「あまい」から「砂糖」「みりん」などの食材を経由して「ケーキ」を連想する人は、「自己愛」、つまり料理がおいしくできたり、ファッションをほめられたりした場合に幸せを感じる傾向があるといえます。この結果から、ケーキなどのお菓子を普段作る人にとっては材料から連想するのが自然であり、ケーキは買ってきて食べる人にとっては「あまい」などケーキを楽しむときの感覚的なことばからの方が自然に連想される、と考察しました。

終わりに

この研究より、心のフレームワークSocietasとその価値観を利用することにより、ことばを受け取ったときの人が描くイメージを説明できるという手応えを感じました。反面、マーケッターに鮮明なヒントを提示するモデルを構築するには、調査内容から分析の手法まで再設計が必要と感じました。オープンラボ期間中さまざまな人に分析手法から応用の可能性までアドバイスいただき、非常に参考になりました。これからさらに研究をすすめていきます。

最後に。オープンラボ用にSocietasを判定するアプリケーションを作成しました。是非、体験してください。また「あまい」から連想したことばは、上の表の傾向と合っていましたか。また感想など教えていただければ幸いです。


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