日本マーケティング・サイエンス学会@長崎に参加してきました


お久しぶりです、徳見です。

この土日に、日本マーケティング・サイエンス学会第93回研究大会に行ってきました。

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初めての学会参加だったので、へーこんな感じなのか〜、と新鮮な経験でした。
個人的には研究内容だけでなく、発表のスタイルや研究の進め方などについて知る事もあり、良い機会でした。

せっかくですので、参加したセッションの中で面白かったセッションをいくつか紹介します。
※ 私の解釈で書いてますので、正しい情報は学会へお問い合わせください。

食意識が与える食卓への影響について〜食MAPデータを用いて〜

井上明子氏@(株)ライフスケープマーケティング
塚原新一氏@(株)ビデオリサーチ

食MAP®とは、「意識」「購買」「食卓(最終消費実態)」のデータが一体となった多次元情報システムだそうで、すでにビジネス展開されているそうです。(食品業界では有名だとおっしゃってました。)

「価値観」「行動」「モノ」のデータを扱う Societas とコンセプトが似ており、興味津々で聞いてました。

食MAP®のすごいところは、15年間アンケートを取り続けているところです。
今回の研究報告では、そのアンケートデータから、「調理」や「食」に関する意識・態度項目を利用して、クラスター分析を実施し、類型化した生活価値観から商品開発や販促に活かそうという試みでした。

食MAP®は食を対象としていますが、Societas と繋げば、買った食品から別の消費行動を推測する事ができそう、いやきっとできる、と妄想して楽しかったです。

RFMデータを用いた顧客生涯価値の算出

阿部誠氏@東京大学大学院経済学研究科

RFMデータ(Recency:最新購買日、Freauency:累計購買回数、Monetary:累計購買金額)は全ての企業が持っているデータなので、これを使って何かできないか、というのが動機だと、おっしゃってました。
シンプルで素敵です。

研究の目的は2つ。
既存顧客に対しては、最終購買からどのくらい期間がたっていたら離脱の可能性が高いのか、顧客ごとに生存確率(CLV:Customer Lifetime Value)を計算し、どの既存顧客にいつアプローチすればマーケティングROIがもっとも効果的かを探ること。
見込み顧客に対しては、RFMをデモグラに結びつけることで、CLVを推定および新規顧客に関する知見を得ること。

百貨店のデータを使った実験では、デモグラデータは「年齢」「性別」「食料品を購買した来店回数の割合」を使用したそうです。
なぜ、「食料品を購買した来店回数の割合」かというと、以下の理由からだそうです。
・食品を買うという事は近くに住んでいる
・住所だと都市と田舎で交通や距離の意味が違う

そういうデータそのものではなく、データのもつ意味を捉えて使う事が大切ですね。

具体的な計算式は理解できない私でも、先生の研究報告は、目的と動機が明快かつシンプルでとても興味深いものでした。

購買態度形成プロセスにおけるソーシャルメディアの効果

渋瀬雅彦氏@法政大学大学院
竹内淑恵氏@法政大学

ある商品のソーシャルとテレビCMに接触したことのある人をリクルートしてアンケートし、それぞれのメディアの接触状況が、購買行動プロセスにどのような影響があるのかを検証した研究報告でした。

クリエイティブ重視(好感に影響)か商品理解重視(購買意向に影響)といったテレビCM内容の特性によっても、態度形成のプロセスが異なるという考察があり、ニューロ・マーケティングの実験の経験から共感を覚えました。

当社で実施したニューロ・マーケティングの実験では、消費行動を計測するために行動観察や事後アンケートを実施しました。
ですが、実際の消費行動と結びつけたデータを取得するのは、時間的にも実験環境的にも難しいという課題が残ったままでした。
一気に「行動」を評価軸にするのではなく、「行動」の準備段階としての「態度形成」を評価軸にしたらいいかな〜などと、ぼんやり思いながらセッションを聞いていました。
アカデミックな場では当たり前の事かもしれませんが、私には新しい知見でした。

サブブランド戦略における販売施策の検討〜文脈効果を用いて〜

馬場智嗣氏@イオンリテール(株)
坂本和子氏@京都工業繊維大学

PB商品のパッケージデザインに「妥協効果」を適用した実証実験の報告でした。

「妥協効果」とは、極端な高低の価格帯を避けて、無難な中間の価格帯を選びやすいという心理効果のこと。品質・価格に差がある、2つの選択肢だと分散するが、3つの選択肢だと中間が選ばれやすくなる。

<例:品質と価格に差がある選択肢があった場合>
2つの選択肢
B. 品質中:価格中・・・14人
C. 品質低:価格低・・・16人
3つの選択肢
A. 品質高:価格高・・・ 8人
B. 品質中:価格中・・・ 13人 ★中間が選択されやすい
C. 品質低:価格低・・・ 9人

さらに、3つ以上の選択肢があった場合、類似する特徴を持つもの同士を「カテゴリー化」して比較するので、さらに妥協効果が高まる

この研究では、パッケージに妥協効果フレームとカテゴリー化を応用する事で、企業が売りたい商品をコントロールできるのでは(中価格帯PBの購入確立を高める)ことができるのでは、というものでした。

これを聞きながら、昔話の「舌きり雀」を思い出しました。
日本人は欲張ってはいけない精神があるので、海外の人と比べて中間層を選択しやすいのかも・・・

サラッと調べたところ行動経済学で注目されている「アンカリング効果」のひとつなんですね。

感想

このほか、10セッションに参加しました。
私は学会の研究発表会への参加が初めてなので、他の学会や過去と比べてどうかはわかりませんが、それぞれ気付きがあって、私なりに勉強になりました。

そして、馬場さんが以前ブログで書いていたように、当社の研究も結構いけてるカモ、と思いました。

余談

何の下調べもせずに行ったのですが、せっかく長崎に来たという事で、少し観光しました。
明治維新を影で支えたトーマス・グラバーさん、炭坑によって栄えた軍艦島(端島)など、長崎には日本の熱い人々の歴史が刻まれている土地だということを初めて知りました。

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グラバー園

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軍艦島(端島)

後ろ髪ひかれながら関西にもどってきました。
また改めてゆっくり行きたいです。


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