UX KYOTO #05 参加レポート(構造化シナリオ法)


7月15日(日)に実施された UX KYOTO #05 に参加してきました。
今回は、前回の半構造化インタビューと評価グリッド法で整理されたデータを用いて、シナリオを作成する「構造化シナリオ法」です。

浅野先生がかねてより、この「構造化シナリオ法」を体験することで、ペルソナ・シナリオ法の理解がグッと深まるとおっしゃってましたのでワクワクしながら参加でしたが、期待通り「アハ体験」できました!

先生の講座やワークショップのポイントだと感じた事を、徳見の感想も交えて紹介します。

ビジネスニーズ

サービスやプロダクト制作の構成要件は以下の3つがあります。

  • 技術的シーズ
    デザイナやエンジニアがやりたくなるアプローチ
  • 利用状況の分析
    HCDによるアプローチ
  • ビジネスニーズ
    デザイナやエンジニアはここが弱い

そこで、最近注目されている「ビジネスモデル・キャンバス」を3つの視点に分けて紹介してくださいました。

デザイナやエンジニアは「利益コスト視点」まで考えなくても良いが、「ユーザ視点」「企業視点」はこのキャンバスを使う事で考えやすくなると思います。

なお、考える際の注意点として先生がおっしゃってたポイントがあります。

「このサービスを使ってくれる客はいないかな〜」というアプローチはNG。
「この人たちが必要としているサービスは?」という視点で考えなければならない。

すでに企業に何かしらサービスがある場合、ついつい前者の考えになりがちだな、と思いました。

ペルソナのトレンド

ペルソナはどんどん簡略化されてきています。
ペルソナはユーザのイメージを具体的にするために有効ですが、ビジネスで大切なのはシナリオです。

最近アジャイル開発ではプラグマティック・ペルソナが用いられています。
プラグマティック・ペルソナはペルソナの情報を以下の4項目だけ記述します。

  • 顔、名前
  • About:その人について
  • Context:その人がサービスを利用するにいたった経緯
  • Implication:サービスを利用する事によって得られるUX

UX KYOTO #03 で作成したペルソナが、プラグマティック・ペルソナに近いのだと思います。

ビジョン提案型デザイン手法

さて、本題の「構造化シナリオ法」です。
この手法は、日本人間工学会アーゴデザイン研究部会から最近出版された「ビジョン提案型デザイン手法」という本に詳しく記載されています。

この手法の特徴は、シナリオが3つに分かれている事です。

  • バリューシナリオ
  • アクティビティシナリオ
  • インタラクションシナリオ

これを各自ひたすら書いていきます。

バリューシナリオ

前回(#04)、評価グリッド法で整理した本質的要とユーザ情報、そして課題で予め指定されていたビジネス要件をまとめたシナリオです。
これはシートに落とし込むだけなので、比較的簡単な作業でした。

アクティビティシナリオ

構造化シナリオのポイントは、このアクティビティシナリオ!
これがちゃんと書けてるかどうかで、この手法が理解できているか、使いこなせるか、の分かれ目です。

アクティビティシナリオとは、ユーザの行動を記述したものです。
ここで注意すべきなのは、デバイスやインターフェイスについては書かない事です。

いわゆる「コト」のシナリオです。

ちなみに、私は「アプリを立ち上げて」などソフトについて書いてしまい、次のインタラクションシナリオに着手してから、このアクティビティシナリオが何かわかりました。

言葉にすると簡単そうですが、いざ書いてみると思考の順序がおかしい事に気づきます。
そのことに気づく事が、浅野先生のおっしゃっていた「この構造化シナリオで今までしてきたことが理解できるよ」ということなのでしょう。

書き上げたら、最後に以下のユーザビリティの定義の要素が入っているかをチェックします。

<ユーザビリティの定義(ISO9241-11)>
ある製品が
・特定のユーザによって
・特定の利用状況下で
・指定された目標を達成するために用いられる際の

有効さ、効率およびユーザーの満足の度合い

インタラクションシナリオ

アクティビティシナリオを、デバイスやインターフェイスなどの構成要素の名前を使用したユーザの行動に落とし込み、より具体的にします。

アクティビティシナリオは「コト」のシナリオに対し、インタラクションシナリオは「モノ」のシナリオと言えます。

なお、アクティビティシナリオがきちんと書けていれば、インタラクションシナリオを書かずにペーパープロトタイプに入ってもオッケーとのこと。
私は、文字でインタラクションを考えるより、ペーパープロトタイプで考えた方が考えやすかったです。

まとめ

時代とともにデバイスやソフトは変化しますが、人の要求は変わりません。
アクティビティシナリオとインタラクションシナリオを分けて書く事で、時代の変化によりデバイスや技術が登場しても慌てる事なくインタラクションシナリオだけを修正すれば対応できるということです。
詳しくは、最近出版された「ビジョン提案型デザイン手法」に書かれてますので、早速読んでみたいと思います。

次回は、ペーパープロトタイプです。
HCDの設計〜評価まで一回り体験したいと思います。


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