IA meets Lean/Agile UX in 京都 参加レポート


UX KYOTOに続き、16日(火)はロフトワークス さん(京都)で開催された、樽本さんの「Agile UX ~リーン/アジャイルな201x年型Web制作スタイルの可能性~」に参加してきました。

スライド:http://www.slideshare.net/barrelbook/leanagile-ux-ver2
写真:http://www.flickr.com/photos/opencu/sets/72157629749495678/
togetter:http://togetter.com/li/304387
USTREAM:http://www.ustream.tv/recorded/22601816

京都がアツいです。

樽本さんは、ユーザビリティエンジニアリングアジャイル・ユーザビリティ の著者で、最近は「UX」「アジャイル」「リーン」をキーワードとした講演を多数されています。

樽本さんのお話を聞くのは、今回で3回目ですが、改めてポイントだなぁと思うところのメモです。
# 私の意見や言い回しが含まれてますので、あしからず、、、

UX

UX/アジャイル/リーンのテーマのうち、私が一番興味あるのあるのがUX。
ということで、メモのほとんどはUXです。

UXのビジネス的価値

10年前に欧米のカンファレンスなどで大企業のトップが「User Experience」という表現を使いだし、4〜5年ほど前から日本でも言われるようになった。
こぞって企業のトップが「User Experience」を言い出したのには、理由がある。
その理由を説明しやすいのが以下の図。


経済価値別のコーヒー(1杯あたり)の価格
B・J・パインII, J・H・ギルモア著「経験経済」より

同じ商品でもエクスペリエンスの価格はコモディティや製品の数十倍から数百倍。
要するにエクスペリエンスは儲かる

デザイナーのジレンマ

Web系のデザイナー、特にソフトウェアのUIなどを担当している方なら共感出来るお話し。

エンジニアなどから「いけてるエクスペリエンスをよろしく」と依頼が来て、快く引き受けるけど(仕事だから)、内心めっちゃ困ってる。
その理由は、以下のUXの構造を表した有名な図を見るとわかりやすい。


2000年にJ.J.Garrett氏が提唱した「The Elements of User Experience

エクスペリエンスは5つの層で成り立っている。
ある程度層が積み上がった状態で、「すぐれたエクスペリエンスをつくって」と言われても、すでにほとんど出来ている状態でエクスペリエンスだけを付け足す事はできない。

エクスペリエンスはデザイナだけで作るものではないし、またデザイナは表層だけでなく戦略から参加することで、すぐれたエクスペリエンスに近づけるのではないかと思う。

ユーザの声を聞くべからず

UCD/HCDでも良く言われることですが、樽本さんは以下の式で表現されてました。

ユーザの声は、体験を自分(素人)で分析したもの。
お医者さんは、患者の自己分析の下いきなり手術したりしない。
(例:「お腹が痛いんです。たぶん盲腸です。」という患者の声をもとにいきなり腹は切らない)
ユーザの声を聞くのではなく、体験を専門家が分析する事がプロの仕事である。

アジャイル

アジャイルの神髄

アジャイルとは、、、という細かい話しもありましたが、UXと深く関わりのある説明がこれだと思いました。

20:80

ソフトウェアで使われる機能は20%!
残りの80%はほとんど使われないので、その部分を開発するのは無駄なコストと時間、かつバグも出ちゃう。

そこで、
機能を減らすこと
中核的価値から作ること(細かく分解して完全に優先順を決める)
がアジャイルでは重要になる。

また、中核的価値を判断するという事は、ユーザへ与えるエクスペリエンスを何にするか、ということが定義されていることだと思います。
効率的な設計手法ということだけでなく、ユーザおよびビジネスの価値を定義するためにもアジャイルは有効なんだと感じました。

リーン

リーンは製品を完成させてから販売するのではなく、顧客開発しながら製品を作って行く考え方です。
重要なキーワードとして「MVP」「Pivot」「Build-Measure-Learn」をピックアップします。

MVP:Minimum Viable Product

ニーズがあるかどうか検証するためのに、必要最小限の機能で提供してユーザの反応を見ながら製品開発を進めて行くこと。
具体的には以下のようなものがある。

  • ダミー広告
  • ペーパープロトタイプ
  • 動画
  • オズの魔法使い

HCD/UCDでいうところの、プロトタイプもMVPのひとつ。

Pivot

戦略変更のこと。
MVPでニーズが明らかにならないときは、思い切って戦略ごと変更。

好例は、YouTube。
設立当初はデートサイトだったが、動画の検索数が多いということで動画一本に絞ったところ大当たりしたそうです。

Build-Measure-Learn


The Lean Startup

PDCAと考え方は同じ。
MVPで小さく不確実な状態でスタートさせても、Build-Measure-Learnを高速回転させることで、確実なものへと進化させていくことができる。

なるべく早く小さく失敗して学ぶことって、アメリカなどで起業して失敗した人の経験が評価されるのと似ているなぁ、と思いました。

ちなみに、Build-Measure-Learnの中で「Learn(学び)」が一番重要だとおっしゃってました。
学びがなかったら、不確実なまま成長しないですからねー。

おまけ

ヒューリスティック評価/認知的ウォークスルー

質問タイムに質問させていただきましたので、それも紹介します。

樽本さんはユーザテストにをテーマとした出版や講演などを多数されています。
評価にはユーザテスト以外にもヒューリスティック評価や認知的ウォークスルーなど、専門家による手法もありますが、これらについてはあまり触れられていません。
そこで、ヒューリスティック評価や認知的ウォークスルーについてのお考えを聞いてみました。

結論から言うと、あまりおすすめしないとのこと。(個人的には!と強調されてました)

まず、評価には「インスペクション(専門家評価)」と「ユーザテスト(ユーザ評価)」の2種類があります。
ソフトウェアの操作はパズルみたいなもので、一回解いたことがある人、作った人は、迷う事ができません。
樽本さんは、専門家としてアドバイス程度は行うが、評価では必ずユーザテストを実施するそうです。

ヒューリスティック評価や認知的ウォークスルーは手軽ですが、その有効性に疑問があったので、やはりユーザテストと一緒に実施することが重要だということだと思いました。

お医者さんが手術前にレントゲンやCTUの検査をするのと同じく、「ここが悪いかもしれない」というアタリはプロの経験を利用し、その部分を実際観察して判断することが大切ですね。
経験や知識が思い込みとして邪魔する事は少なくないので、「判断は観察から!」ということを頭に叩き込みたいと思います。

ビジュアル・ノートテイキング

最近ちょこっと話題になっていた、ビジュアル・ノートテイキングを意識してメモしてみましたが・・・・

ただの落書き・・・orz 手早く描くのは難しいデス。

最後に

樽本さんはUXだけでなく、アジャイルやリーンと組み合わせたお話をしてくださるので、エンジニアと情報共有しやすい内容だと思います。
また、本は実践を重視しているので、ユーザテストやったことないけどやってみたい、という方にはかなりおすすめです。

懇親会では、以前HCD-net のセミナーで講師をされていた、操作デザイン設計の前川さんともお話できました。
セミナーでお話しいただいていた手法などについて質問でき、かなり贅沢な時間でした。
# 前川さんが提唱されていた、プロセス状況テーブルのワークショップの開催を期待しています!


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