主客一体で進める共創


4月にサービス学会第三回国内大会のグランドチャレンジワークショップで発表してきました。
2つのテーマの募集されており、そのうちのひとつが以下のような内容でした。

1. サービス開発(イノベーション)方法論
 サービス開発においては、ニーズ知識不要論(消費者は自分の望んでいることがわからない、または語れない)がある。一方、デザイナーの感性に依存した開発にも不確実性や非再現性への批判がある。これら両者の問題を克服するサービス開発方法論の提案を新規グランドチャレンジとして募集する。

私が常々感じている関心事とドンピシャでしたので、「主客一体で進める共創」と題した申し込みをしたところ、すんなり受け入れていただけたので、勇気を出して発表してきました。
失笑されないだろうか・・・という心配を他所に、反響が良かったのでここに共有します。

発表資料がコレ↓

スライドだけでは説明がほとんどないので補足します。

このグランドチャレンジのひとつめのテーマである「サービス開発方法論における、ニーズ知識不要説(消費者が語れないニーズを理解することが難しいこと・デザイナーのセンスに依存することによる不確実性や再現性がない問題)について、私は、サービス提供者がどのように消費者に共感するのか、という課題だと捉えています。

消費者理解のアプローチの多くは、専門の調査会社・リサーチャーに依頼し、その結果を分析(あるいは分析も外注)することです。
仮に調査者のスキルが高く、調査者が消費者と共感することができても、調査レポートだけでは設計者へ共感が伝わらない問題があります。
そこで、ワークショップによる経験の共有が最近注目されていますが、調査者同様に共感するための方法はまだ明らかではありません。

また、最近ではデザイナー自身が調査を実施することが推奨されていたり、顧客がデザインに参加する方法が注目されています。
前者の場合は調査スキルの壁があり、後者はデザインの工程に参加するだけでは十分な共感が醸成できているのか、といった疑問が残ります。

これらの問題は、企業と消費者、行政と市民などといった立場の違い、つまり主客と客体と分離しているという構造上の限界ではないかと考えました。
そこで、それぞれの立場を超えて「主客一体」となるにはどのようにすればいいのだろうか、と考えるようになりました。

主客一体とはどういった状態でしょうか?
場の思想の清水博先生の自己のたまごモデルをご紹介します。

清水先生は主客一体を「大きな家族のような共存在感情がある状態である」とおっしゃってます。
この状態を、場の思想ではたまごに捉えて説明しています。
自己には局在的自己(黄身)と遍在的自己(白身)があり、局在的な自己の中に変わらない核があります。
遍在的自己(白身)は他の遍在的自己と混ざり合うことで、局在的自己(黄身)に影響します。
この遍在的自己(白身)が混ざり合っている状態、すなわち共存在感情がある状態が主客一体の場です。
※詳しくは、場の研究所をご参考ください。

先に述べた、一般的な調査方法をたまごに表すと、デザイナーと消費者の白身は混ざっていのかもしれません。
デザイナーと消費者を自己の共存在感情の状態、すなわち主客一体の状態にするにはどのようにすればいいのか?というのが、私の問いです。

(以下、主客一体のへのアプローチの一提案とそれを試したワークショップ事例が続きます。)

拙い発表にも関わらず、その後の懇親会やポスター発表等で多くのご意見を頂戴することができました。

東京大学の竹中先生からは3つの共創のルーツについて教えていただきました。
私の解釈ですので、誤解があればご指摘いただけると嬉しいです。

  1. 場の概念:哲学者である西田幾多郎、およびその後、清水博によって洗練されてきた。
    他の共創のなかで一番古く、私の関心事に近い。
    (大会の会場となった金沢は西田氏の出身地でもある)
  2. 共に創る:多様な人々の集りで起こる共創。最近、企業でも注目されている活動はこれに当たると思われる。
  3. 共創工学:創発の立場から共創をシステム論的に捉えた東京大学人工物工学研究センターの上田研究室の研究。

清水先生のおっしゃる共創と、企業活動で実践されている共創に違和感を感じていたので、3つの共創を教えていただいてスッキリしました。
とはいえ、どの分野もまだまだわからないことだらけなので、これから勉強です。

他、公立はこだて未来大学の中島先生には励ましと参考論文いただいたり・・・ 他の先生方、研究員の方、実務経験の豊富な人生の先輩方等々から共感と貴重なご意見を頂戴したりと、贅沢な経験をしました。

ただの企業の一デザイナーですが、得た知識をコツコツと実践で活かしていくことが、私の立場であり存在意義でもあります。
その立場を活かしつつ、ライフワークとしても探索・研究を続けていきたい面白いテーマだと改めて感じました。

そこで、ここまで読んでくださった方へ質問です!

  1. 主客一体となった感覚をもったことはありますか?
  2. それはどんな時でしたか?

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